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建築物の安全性を確保するためには、火災に対する備えが欠かせません。
特に木造建築においては、適切な防火対策が求められます。
本記事では、準耐火構造の基本知識と、それを屋根に適用する方法について解説します。
建築関連の専門家や、建築を予定している個人の方々に、建物の耐火安全性能に関する理解を深めていただくことを目的としています。

□準耐火構造の基本と木造建築における役割

建築物の防耐火性能は、大きく分けて以下の3つに分類されます。

1:耐火建築物


主要構造部を耐火構造とすることで、火災終了後も建物の自立性を維持する建築物。

2:準耐火建築物


火災時の加熱を受けても、一定時間主要構造部の崩壊・倒壊を防ぐ性能を有する建築物。

3:その他建築物(一般木造)


上記以外の建築物。

耐火建築物では、主要構造部を耐火被覆で完全に覆う必要がありますが、準耐火建築物では、「燃えしろ設計」という手法を用いることで、柱やはりを木材現わしのまま使用することが可能です。
燃えしろ設計とは、木材表面が一定寸法燃えても構造耐力上問題ないことを確認する設計法です。

2019年と2022年の建築基準法改正により、防耐火に関する各種合理化規定が制定され、高度な準耐火構造の整備や防耐火規制の合理化が進みました。
これにより、防耐火性能を有する木造建築物の計画がしやすくなっています。

木造建築における準耐火構造の重要性は高く、適切な設計と施工により、火災時の安全性を大幅に向上させることができます。
木造でも1時間耐火構造や2時間耐火構造の建築物が建てられるようになっており、木住協の大臣認定を利用した物件数は増加傾向にあります。

□屋根を用いた準耐火構造の具体的実践

屋根に準耐火構造を適用する場合、建築基準法に準じた材料選定と施工方法が求められます。
ここでは、30分準耐火構造の例示仕様を基に、具体的な実践方法を解説します。

1:屋根材


防火地域や準防火地域、建築基準法第22条区域など、地域による規制に適合する不燃材料や飛び火性能認定品を使用します。

2:野地板


厚さ9mm以上の構造用合板、構造用パネル、パーティクルボード、硬質木片セメント板などを使用します。

3:屋内側または直下の天井


厚さ12mm以上の強化せっこうボードを1枚張りします。
せっこうボード端部の取合い部には当て木を設けます。

4:断熱材


断熱材に関する規制はありませんが、建物全体の断熱性能を考慮して選定します。

これらの仕様を満たすことで、30分準耐火構造の屋根を実現できます。
ただし、例示仕様に記載されていない材料を使用する場合は、建築主事の判断が必要となります。

また、屋根材としてROOGA、グランネクスト、カラーベスト、スマートメタルなどのケイミュー商品を適用することも可能です。
垂木や野地板等は設計施工基準に準じて選定・施工します。

□まとめ

本記事では、準耐火構造の基本知識と木造建築における役割について解説しました。
準耐火構造は、火災時の加熱に耐えつつ、一定時間建物の崩壊・倒壊を防ぐ性能を有しています。
木造建築においても、燃えしろ設計を用いることで準耐火構造を実現できます。

また、屋根に準耐火構造を適用する具体的な方法として、30分準耐火構造の例示仕様を紹介しました。
屋根材、野地板、天井材、断熱材の選定と施工方法に注意を払うことで、屋根の耐火安全性能を高めることができます。

建築物の安全性確保は、設計者や施工者だけでなく、建築主にとっても重要な課題です。
準耐火構造に関する知識を深め、適切な防火対策を講じることで、火災リスクに備えた建築物を実現しましょう。

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