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コンクリート構造物は、私たちの生活に欠かせない存在です。
しかし、長年の使用や環境の影響により、劣化が進行することがあります。
特に、鉄筋コンクリートの爆裂は、建物の安全性や耐久性を脅かす深刻な問題です。

本記事では、建築や施設のメンテナンスに携わるプロフェッショナルの方々に向けて、鉄筋コンクリートの劣化原因と効果的な補修技術について解説します。
コンクリートの爆裂メカニズムを理解し、適切な対策を講じることで、構造物の長寿命化を図ることができるでしょう。

□鉄筋爆裂の主な原因とそのメカニズム

鉄筋コンクリートの爆裂は、内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを内側から破壊する現象です。
この現象が起こる主な原因として、以下の3つが挙げられます。

1:中性化


コンクリートの表面に発生したひび割れから、空気中の炭酸ガスが侵入することで、コンクリートのアルカリ性が失われ、中性化が進行します。
中性化が鉄筋まで到達すると、鉄筋の錆びが促進されます。

2:かぶり不足


鉄筋とコンクリート表面との距離(かぶり厚)が不十分な場合、鉄筋が錆びやすくなります。
かぶり厚が薄いと、外部環境の影響を受けやすく、劣化が早まります。

3:コールドジョイント


コンクリートの打設時に、打ち継ぎ時間が長くなると、新旧のコンクリートが十分に一体化せず、弱点となるコールドジョイントが形成されます。
このような箇所は、ひび割れが発生しやすく、劣化の原因となります。

鉄筋の錆びが進行すると、体積が膨張し、コンクリートに大きな圧力がかかります。
やがて、コンクリートが内部から破壊され、表面が剥離・剥落する爆裂現象が発生するのです。

□コンクリート爆裂への対処法と補修工程

コンクリートの爆裂を放置すると、建物の寿命が大幅に縮まってしまいます。
適切な補修を行うことで、構造物の長寿命化を図ることができます。
一般的なコンクリート爆裂の補修手順は以下の通りです。

1:補修箇所の調査


建物全体を入念に調査し、爆裂が発生している箇所を特定します。
目視だけでなく、打診などの方法で、内部の劣化状況も把握します。

2:はつり作業


劣化したコンクリートを、ハンマーなどを用いて削り取ります(はつり作業)。
鉄筋が露出するまで、脆弱部分を完全に除去します。

3:鉄筋の処理


露出した鉄筋の錆びを、ワイヤーブラシやサンドブラストで徹底的に除去します。
錆びが残っていると、再劣化の原因となります。

4:モルタルによる断面修復


防錆剤を塗布した後、断面修復材(ポリマーセメントモルタルなど)を充填し、コンクリートの形状を復元します。

5:養生


補修箇所を適切な環境下で養生し、修復材の硬化を促進します。

これらの一般的な補修方法に加えて、近年では、IPH工法(内部圧入工法)という革新的な技術が注目されています。
IPH工法は、コンクリートのひび割れ内部に特殊な樹脂を注入し、加圧状態で硬化させることで、微細なひび割れまで確実に補修することができます。
目に見えないひび割れを放置すると、劣化が進行し、建物の安全性や耐久性が損なわれます。
IPH工法は、そのようなリスクを未然に防ぐ効果的な方法と言えるでしょう。

□まとめ

鉄筋コンクリートの爆裂は、中性化やかぶり不足、コールドジョイントなどが原因で発生します。
鉄筋の錆びが進行し、コンクリートを内側から破壊する現象です。
爆裂を放置すると、建物の寿命が大幅に縮まってしまうため、適切な補修が必要不可欠です。

一般的な補修工程として、劣化箇所の調査、はつり作業、鉄筋の処理、モルタルによる断面修復、養生などが挙げられます。

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